庭づくりを考える

☆自然素材と工業製品について

今回は毎回と違う感じで…お客様、様々な方と触れ合う中で自身が庭について考えている事を書いてみます。

大げさな話しになりますが…手間やコスト面の問題からか手作りの自然素材に変わり工業製品が普及しております。人の趣味嗜好も変わり…工業化と共に社会も変化をしてますが三浦造園では手間暇をかけて自然素材を活かした庭作りを行う中で持続可能なエネルギー、本質的な幸福、平和を感じて欲しいと庭を作っています。自身のつくる庭を通じて時間の過ごし方を断片的ではありますが感じて頂けたらと思います。

工業製品は完成時が一番綺麗で完成から日々劣化をして行きます。自然素材は完成時から時間をかけて経年変化をして行きます。

自然素材は生きていて呼吸をしています。湿気を吸ったり吐いたり、長年自然の中で生きてきた傷も美しさと風合いです。工業製品は割れたり、ヒビや傷が入れば欠陥、欠損で捨てられ、また新しく交換されるいわば使い捨て品で限りあるエネルギーの消費スパイラルが生まれます。購入される際はすぐに壊れない、コスト的に優れて劣化が無いと考え購入した品…。

自然素材は、ヒビが入って当たり前、割れや傷は自然の中で生まれた個性、味、美しさです。皮製品を考えると分かりますが合成皮は安く均一で綺麗でメンテナンスもかからず合理的です、劣化したら捨て買い直せば良い。自然の皮は動物が生きて来た中でおった傷、血管が見えます、同じ物は無い。水ですぐ染みになったりと気を使い手間も、かかります。愛情を注ぎ、ブラシングや布、手で撫でると時間と共に飴色に光沢をまします。育てた皮は唯一無二の自分の分身のように大切な物。しかし愛されない自然素材はただの薄汚れた物となって行くでしょうが…。

また自然素材は持続可能なエネルギーです。例えば土塀の土は建て替えなどで壊されても何度でも水を加えて練り直しまた新しく再生出来ます、震災で崩されても何度でも。不必要になっても自然に返せば良い、工業製品は作る際もエネルギーを消費し、捨てる際までエネルギーを消費します。事実100年以上の木造建築はざらにありますが…環境、施工により時間と共にやがて木は朽ち果てますが、その時は自然へと帰って行きます。

この点を考えるとやはり工業品を見ても人間には温もり、安らぎをを感じ難いのかもしれません…心、次第でしょうが…工業品は触っても冷たく、また夏は暑くさわれない。打ち刃物やアイアンなど人の手で作られ物、心を込めた物は違います温もりが感じられる物。

自分の作庭は綺麗より風合いを人間が作った温もり、味を大切にしています。大工、石屋、左官、外構屋どれを取っても専門家には敵いません。植木屋だから庭に合う、野の趣き溢れる、苦労して作った温もりを、それが自分の作庭の特徴です。一人でも多くの方に理解され、そのお庭に安らぎを感じて頂き愛でて頂けたら幸いです。自宅に試作で泥壁を塗りました。